「不安ぐせ」は性格のせいじゃない?自律神経から考える安心習慣5選

「いつも何かが気になって、目の前のことに集中できない」

「夜、布団に入ると心配ごとが次々に浮かんでくる」

「頭では大丈夫だと分かっていても、気持ちが落ち着かない」

このようなお悩みはありませんか?

不安を感じやすい自分に対して、「もっと前向きに考えなければ」「自分の性格を変えなければ」と思ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、不安は単なる性格の問題ではありません。心の状態だけでなく、身体の緊張や睡眠、生活環境など、さまざまな要因が関係しています。

今回は、浅井咲子さんの著書『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論 科学的に安心習慣をつくる方法』を参考に、不安との付き合い方と、日常生活で取り入れられる5つの安心習慣をご紹介します。

1.不安は自分を守るための警報システム

不安は、本来、私たちの身を守るために備わっている大切な反応です。

危険を予測すると、身体は緊張し、周囲に注意を向け、すぐに行動できるよう準備します。

例えば、次のような経験はありませんか?

  • 大事な予定の前に、心臓がドキドキする
  • 失敗を避けようとして、何度も確認してしまう
  • 将来のことが気になり、悪い結果ばかり想像してしまう

こうした反応には、危険や失敗に備えようとする働きが関係しています。

ところが、実際には危険が迫っていなくても、緊張した状態が続くことがあります。

すると、まだ起きていない未来のことまで心配したり、小さな出来事を大きな問題のように感じたりすることがあります。

このような状態を理解するための視点の一つが、書籍で紹介されている「不安ぐせ」という考え方です。

大切なのは、不安を感じる自分を責めないこと。

「考え方を変えなければ」と頑張る前に、まずは心と身体がどのような状態にあるのかを見つめてみましょう。

2.自律神経を3つの視点から考える

自律神経は、心拍や呼吸、消化など、意識しなくても働く身体の機能を調整しています。

一般的には、交感神経と副交感神経の2つに分けて説明されます。

一方、ポリヴェーガル理論では、自律神経の働きを理解するために、交感神経と、迷走神経に関連する2つの働きという3つの視点を用います。

それぞれの特徴を、日常生活に当てはめて考えてみましょう。

交感神経:活動や緊張に関係する働き

交感神経は、身体を活動的な状態にする働きに関係しています。

例えば、仕事に集中しているとき、運動しているとき、危険を感じてすぐに行動しようとしているときなどです。

適度な緊張は、集中力や行動力を支えてくれます。

しかし、緊張が長く続くと、休もうとしても気持ちが切り替わりにくくなることがあります。

背側迷走神経:休息や活動低下に関連づけられる働き

ポリヴェーガル理論では、背側迷走神経は休息や身体の活動が低下する状態と関連づけて説明されます。

強いストレスを受けたときに、動けなくなったり、頭が真っ白になったりする反応についても、この理論では説明の対象となります。

ただし、こうした状態には睡眠不足や心理的な要因、身体の病気なども関係するため、特定の神経の働きだけで説明できるわけではありません。

腹側迷走神経:安心感や人とのつながりに関連づけられる働き

ポリヴェーガル理論では、腹側迷走神経に関連する働きが、安心感や人とのつながりに関係すると考えられています。

例えば、信頼できる人と安心して話せるとき、好きなことに夢中になっているとき、自然に笑えるときなどです。

こうした時間は、心身の緊張を和らげるきっかけになることがあります。

大切なのは、3つの状態に優劣をつけないことです。

緊張することも、休むことも、人とつながることも、私たちの生活に必要な働きです。

目指したいのは、いつも穏やかでいることではなく、状況に応じて活動し、休息し、自分なりの落ち着きを取り戻せることです。

3.安心して過ごせる心の土台を育てる

書籍では、安心して過ごせる状態を支える土台を「神経基盤」、心地よくいられる範囲を「耐性領域」という言葉で説明しています。

簡単にいうと、ストレスを受けたときに自分の落ち着きを取り戻すための土台と、ストレスに対応できる心の余裕の幅を表す考え方です。

例えば、以前なら少し注意されただけで一日中落ち込んでいた人が、経験を重ねるうちに「今回はうまくいかなかったけれど、次に気をつけよう」と気持ちを切り替えられるようになることがあります。

安心できる経験や、自分に合った対処方法を積み重ねることは、ストレスとの付き合い方を身につける助けになります。

安心の土台づくりの手がかりとして、次の2つを意識してみましょう。

予測性:先の見通しを持つ

先の見通しが立たないと、不安を感じやすくなることがあります。

そんなときは、心配ごとをすべて一度に解決しようとせず、次にできることを小さく区切ってみましょう。

例えば、

  • 心配ごとを紙に書き出す
  • 今日できることと、明日考えることを分ける
  • 不安が強くなったときの休み方を決めておく

先のことが完全に分からなくても、「困ったときには、こう対処しよう」という見通しがあると、気持ちを整理しやすくなります。

選択性:自分に合う方法を選ぶ

不安を感じたとき、誰かに話を聞いてもらうことで落ち着く人もいれば、ひとりで静かに過ごすことで気持ちを整理しやすい人もいます。

大切なのは、周囲に合わせることだけではなく、自分にとって心地よい方法を選ぶことです。

  • 少しひとりになる
  • 信頼できる人に話を聞いてもらう
  • 外を歩いて気分を切り替える
  • 静かな場所で休む

そのときの自分に合う方法を、無理のない範囲で選んでみましょう。

4.今日からできる5つの安心習慣

安心の土台づくりは、特別なことをしなければ始められないわけではありません。

日常の小さな行動から取り入れてみましょう。

① 唇を軽く震わせながら息を吐く

力を抜き、息を吐きながら唇を「ブルブル」と震わせてみます。

口まわりの力を抜き、呼吸に意識を向けるための簡単な方法です。

無理に長く続けず、心地よい範囲で行いましょう。

② 歩きながらゆっくり息を吐く

通勤や散歩の際に、呼吸を少しゆっくりにしてみます。

息を吸うことを頑張るよりも、自然に息を吐くことを意識してみてください。

息苦しさやめまいを感じる場合は、無理をせず、普段の呼吸に戻しましょう。

③ ガムをかむ、または口まわりを動かす

緊張しているときは、顎や口まわりに力が入っていることがあります。

ガムをかんだり、顎の力を抜いて口まわりを軽く動かしたりして、身体の緊張に気づくきっかけにしてみましょう。

④ 背中をゆっくり動かす

四つんばいになり、呼吸に合わせて背中を丸めたり、無理のない範囲で反らしたりします。

「キャット&カウ」と呼ばれるストレッチの一つです。

呼吸と身体の動きを合わせることで、身体の感覚に意識を向けやすくなります。

腰や首に痛みがある場合は、無理に行わないでください。

⑤ 身近な人との小さな交流を大切にする

店員さんに「ありがとう」と伝える、家族と短い会話をする、親しい人に挨拶する。

そんな何気ない交流も、人とのつながりを感じる機会になります。

ただし、人との交流が負担になるときは、無理に話しかける必要はありません。自分にとって心地よい距離感を大切にしてください。

どの方法も、必ず効果が出ると考える必要はありません。

「少し気持ちが落ち着く」「身体の力が抜けた気がする」など、自分の変化を確かめながら、合う方法を探してみましょう。

5.不安をなくすより、不安と付き合える自分を育てる

不安をまったく感じない人になることが、必ずしも目標ではありません。

不安は、危険を避けたり、大切なことに備えたりするためにも必要な感情です。

大切なのは、不安を感じたときに、自分を責めたり、無理に気持ちを抑え込もうとしたりしないことです。

考え方だけを変えようとするのではなく、睡眠や休息、身体の緊張、人との関わり方など、さまざまな方向から自分を見つめてみましょう。

そして、少しずつ安心できる時間を増やしていくことが大切です。

まとめ

今回のポイントは、次の3つです。

  • 不安は自分を守るための反応。自分を責める必要はありません。
  • 自律神経の働きという視点は、心と身体の状態を振り返る手がかりになります。
  • 呼吸や身体の動き、休息、人との交流など、できることから安心習慣を始めてみましょう。

不安が強いときほど、「早く何とかしなければ」と自分を追い込んでしまいがちです。

でも、まずは一息ついて、今の自分の状態に気づくことから始めてみませんか?

みこころ整体院から

心と身体は、日々の生活の中で互いに影響し合っています。

身体が緊張しているときには、まず休息を取り、呼吸や身体の感覚に意識を向けることも一つの方法です。

みこころ整体院では、お身体の状態だけでなく、日常生活で感じているストレスやお悩みにも目を向けながら、一人ひとりに合ったケアを大切にしています。

不安や不眠が長く続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関への相談もご検討ください。身体の不調に別の原因が隠れていることもあります。


参考文献

浅井咲子著『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論 科学的に安心習慣をつくる方法』日本文芸社

https://link.amazon/B0daw0qvL

※この記事は、書籍の内容を参考に再構成した健康情報です。ポリヴェーガル理論には学術的な議論があり、ここで紹介した説明やセルフケアの方法が、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。

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みこころ整体院 院長 砺波忠(となみまこと)